2014年11月15日

金子薫『アルタッドに捧ぐ』

著者 : 金子薫
河出書房新社
発売日 : 2014-11-20
ブクログの献本企画のプレゼントに当選して頂いた一冊です。

『小説の主人公が作者の意図しないところで亡くなってしまう』という出だしが凄く魅力的に感じたし、小説に出てくるトカゲが原稿用紙の中から這い出てくる場面では《ああ、この小説はこんな幻想的なシーンを沢山見せてくれるんやなあ》とワクワクしながら読み始めました。

全体に漂う《死の匂い》に、ラストはきっと大きな破滅・死が待っているんだろうと、少しビビりながらページをめくっていたけど、しかし、主人公が書いていた小説の主人公(ややこしいなあ)が亡くなった後は何か起こりそうで、結局最後まで何も起こらない。僕の期待は肩すかしに終わりました。

緊張感のある文体は、仕事を失って中途半端なモラトリアム期間を過ごす事になった主人公の心理を表現するために、金子さんが意図的に書いているのかと思ったけど、読み終えてみると単に金子さんの力不足なのかなとも考えます。

あと個人的に、もう少し主人公にユーモアが有ってもよかった。仕事もしないでトカゲのコオロギを与える男。書き方を変えれば、かなり奇妙でおかしい男になるのに、大学院に合格して普通の社会に戻ってきてしまう。トコトン無茶苦茶に動かしても誰も文句言わないのに。
posted by 青木杉匡 at 16:45 | 兵庫 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評
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