2013年11月19日

ブッククロッシング日本縦断チャレンジ長野県『神様のカルテ』

ブッククロッシング「日本縦断チャレンジ」。長野県は、松本市の病院が舞台になっている夏川草介さんの『神様のカルテ』です。この書籍はブッククロッシング本の交換会で入手したものです。僕は郵送での参加だったので、実際に本が到着するまで参加者の本棚を見ることを我慢して、「どんな本が送られてくるんだろう?」とワクワクしながら待っていました。

で、届いた本が『神様のカルテ』。もちろん作品は知っていましたし、櫻井翔さんと宮崎あおいさんが出演されたCMも頻繁に見ていたんですが今まで未読でした。こういう偶然の出会いがあるのもブッククロッシングの大きな魅力だと思います。

主人公・栗原一止(くりはらいちと)は、信州松本にある本庄病院に勤務する内科医である。彼が勤務している病院は、地域医療の一端を担うそれなりに規模の大きい病院。24時間365日などという看板を出しているせいで、3日寝ないことも日常茶飯事。自分が専門でない範囲の診療まで行うのも普通。そんな病院に勤める一止には最近、大学病院の医局から熱心な誘いがある。医局行きを勧める腐れ縁の友人・砂山次郎。自分も先端医療に興味がないわけではない。医局に行くか行かないかで一止の心は大きく揺れる。
そんな中、兼ねてから入院していた安曇さんという癌患者がいた。優しいおばあちゃんという感じで、看護師たちには人気者だが、彼女は「手遅れ」の患者だった。「手遅れ」の患者を拒否する大学病院。「手遅れ」であったとしても患者と向き合う地方病院。彼女の思いがけない贈り物により、一止は答えを出す。


最初に引っかかるのが、夏目漱石を敬愛する主人公の語り口です。妙に古めかしい言い回しで、本心を隠すためにわざとお道化た口調を使っているのかと思えば、そうでもないらしい。ここに疑問を感じる人もいるでしょうが、僕はファンタジーということでスンナリと受け入れました。

ファンタジーといえば、栗原夫婦が住んでいる御嶽荘の設定も正しくファンタジーです。オンボロすぎて、誰が住んでいるのか誰も把握していない。床下と天井板が腐って破れた穴から下の階の住人と話ができる。僕は『めぞん一刻』の一刻館や『妖怪アパートの幽雅な日常』の寿荘を連想しました。

一方で、医師不足のため激務に追われる一止の勤務状況や、余命少ない患者の死生観が描かれ、地方病院の抱えるシリアスな問題が書かれます。僕はそのファンタジーとシリアスという相反する対比が面白く感じました。

posted by 青木杉匡 at 17:41 | 兵庫 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ブッククロッシング
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