2012年07月11日

レビュープラス『挑む力 世界一を獲った富士通の流儀』

【レビュープラス】さんで片瀬 京子・田島 篤共著『挑む力 世界一を獲った富士通の流儀』のレビュアーに選ばれました。

挑戦することは誰でもできる。 挑み、そして「成し遂げる」には何が必要なのか?
2011年のスーパーコンピューターTOP500ランキングで2期連続世界一を獲得した「京」をはじめとする8つのプロジェクトに、誇りと信念を持って「挑む」、 富士通のリーダーたちの物語。【知的経営の世界的第一人者、野中郁次郎氏が解説!】

第1章 絶対にNo.1を目指す  ( スーパーコンピューター「京」)
第2章 覚悟を決めて立ち向かう  (株式売買システム「アローヘッド」)
第3章 妄想を構想に変える  (すばる望遠鏡/アルマ望遠鏡)
第4章 誰よりも速く       (復興支援)
第5章 人を幸せにするものをつくる (「らくらくホン」シリーズ)
第6章 泥にまみれる       (農業クラウド)
第7章 仲間の強みを活かす    (次世代電子カルテ)
第8章 世界を変える志を持つ  (ブラジル/手のひら静脈認証)


ある日、木皿泉さんのエッセイを読んだ。それは前田敦子さんが主演したドラマ『Q10』の制作された際の裏話で、その中で弥生犬(夫)さんがとても印象的な事を言っていた。

『科学の発展が必ずしも人を幸せにしない』
『人間にとって不便=不幸なんだろうか?』
『便利を追求しすぎたため核問題にまで踏み込んでしまった』

で、後日届いたのがこの本。木皿さんの言葉とは真反対の内容で、戸惑いながら読み進めました。全ての内容は紹介しないので興味が湧いた方は実際に手にとって読んで下さい。

まず僕が印象に残ったのは、タイトルにもなっている計算速度が、かつて世界一になったこともあるスパコン「京」の第1章。スーパーコンピューターの開発から、例の事業仕分けでの「2位じゃダメなんでしょうか」発言。それでも諦めずに開発を続けて1位になった時のこと。有名なニュースの裏側が覗けてとても面白かった。

しかし、現在「京」はアメリカの「セコイア」に1位の座を明け渡している。僕は正直1位でも2位でもどうでもいい。本格稼働してからが「京」の真価が問われると思います。肝心なのは「京」で何をするのか、何が出来るのか?それを冷静に見ていきたい。

晴天を誉めるには日没を待て。

第4章で書かれている、東日本大震災の復興支援のシステムを構築するプロセスの迅速さには驚嘆しました。3月14日には被災地支援プロジェクトを始動させている。これは本当に早いと思う。このシステムを今後の災害にも最大限活用される事を願います。

一方でコレを読みながら感じたのが、富士通は原発事故をどう考えとるんだろうと言うことだった。第4章では一切、福島県の原子力発電所の事故には触れていない。復興支援のシステムだけに絞って書いたんだろうけど、それでも僕は、科学で人を幸せにしたいと考えている富士通が、その科学で泣いている人がいる事をどう思っているのか知りたい。

一番僕が面白いと思ったのが、スチュアート・クレイナーさんとデス・ディアラブさんの寄稿でした。富士通の特徴を表現する日本語が「泥臭い」だった。この表現は英語にはないらしい。確かにどの章も《デスクワークで計算》というより《フットワークでガンガン》行く感じ。この本は、そんな泥臭い活動をしているイノベーション・リーダーたちの物語です。

木皿泉さんのエッセイを読んだので、少し懐疑的に読んだんですが、これから何かのプロジェクトに挑もうとされている方には大きなヒントになりそうな事が沢山書かれていました。
posted by 青木杉匡 at 18:45 | 兵庫 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評
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